遠まわりの初恋

ゾーイは子供のころからグラントに憧れていた。
十九歳になったとき、二人はなりゆきでキスをかわすが、先に進むのが怖くてゾーイはその場から逃げ出した。
以来、グラントとは親友としてつき合ってきたものの、ほかの女性たちと派手にデートを繰り返す彼のことをゾーイはどうしてもあきらめられなかった。
いったいどうすれば、苦い片思いから逃れられるのだろう? そんなある日、住んでいたアパートメントを追い出された彼女はグラントの家にしばらく居候することになる。
彼への思いを断ち切るため、一度だけ誘惑してみるのはどうかしら。
「ニコラス・ラムジーですって?」キャティーは大声をあげた。
独房で面会した捕虜は、確かにそう名のった。
キャティーは人道支援団体の一員として、クーデターが起こったばかりの中東の公国、バラクを訪れていた。
捕虜にされた国王側の兵士が虐待されていないか監視するためだ。
だが王宮の地下牢で、行方不明の王に会うとは思ってもみなかった。
彼は顔が変形するほど傷つき、ぼろぼろの警備隊の軍服を着ている。
かつてヨーロッパで結婚したい男性のナンバーワンに選ばれた、魅惑のプリンスのおもかげはどこにもなかった。
でもいくら兵士に変装していても、傷が癒えれば見破られてしまう! キャティーの心配を知ってか、彼は意外なことを申し出た。
ジャングルの中を、サラは逃げていた。
アフリカのコンゴに来て二週間、看護師をしていた診療所が、武装した男たちに襲われ、医師も患者も、医療施設も、すべて焼き打ちに遭った。
生き残ったのはサラひとり。
医師から託された病原体の入ったコンテナとともに。
これを大使館に届け、村に広がる恐ろしい伝染病を食い止めなければ。
だがサラは暗い密林で迷い、疲れはて、木の根元にうずくまった。
「サラ・バーデットだね? 君を迎えに来たんだよ」不意に現れた男に、サラは助け起こされた。
茫然と力強い腕に包まれ、死の恐怖も忘れ、彼女はいつしか深い安らぎを感じていた。
なぜ男がジャングルにいたのか、彼は何者なのか考える余裕もなく。
愛の告白にたじろいだ女は男にキスの刻印を残した。
ミステリー作家のデヴォンは、次作のヒーローのモデルを決めた。
コミュニティ・ポリスアカデミーの講師、ジェイク・タナーだ。
彼が教室に入ってくるだけで、頭の中にイメージがあふれ、デヴォンは休憩時間になると急いでメモをとる。
そんな彼女にジェイクも興味を抱いたのか、ある日、食事に誘われた。
しかし、有頂天な思いとは裏腹に、いつもの癖で発作的に断ってしまう。
ああ、彼とデートできたら! 彼女は気持ちをこめて自分の著書をジェイクに贈った。
献辞にキスマークを添えて。
初めての舞踏会の夜にアリシアは社交界を追放された。
公爵夫人のミルドレッドに、いわれない醜聞を流されたのだ。
3年後の今は大好きな馬の調教で生計を立てている彼女だったが、ある日のこと、父が厄介な仕事を引き受けてきた。
ミルドレッドの息子である現公爵からの依頼で、事故に遭った愛馬の傷を癒してほしいというものだった。
アリシアは敵陣に乗り込むような気持ちで公爵邸へ向かう。
ヨーロッパ一ハンサムで裕福な男性と囁かれる公爵に、まさか自分がプロポーズされるとは夢にも思わずに。
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